カンボジアでは、子どもの数に対して教室数や教員数が不足しており、小中学校は午前・午後の二部制になっています。小学校(第1~第6学年)の就学率は全国で69%、中学校(第7~第9学年)は17%と低く、特に農村部で低くなっています(2011年)。働きながら学校へ通う子どもや全く教育を受けない子どももいます。
午後から通学する場合、午前中1時間程度塾に通う児童もいます。教員も二部制で勤務しており、給料が低いため、こうした塾などでアルバイトする先生もいるそうです(管理職は終日勤務)。
二部制のため学校給食の制度はなく、都市部の学校では、校内に売店が設置されていました。農村部の学校では、WFP(国連世界食糧計画)の援助により、一部で学校朝食が提供されています。調理は粗末な小屋でかまどを使って行われており、食事が終わると井戸で子どもたちが食器を洗います。この日のメニューは魚とコーンの缶詰、空心菜などを使ったおかずをごはんにかけたものでした。味はおいしかったですが、食材の種類が限られているので子どもが飽きてしまうこともあるそうです。子どもたちに美味しい料理を提供してもらおうと、料理人のコンテストが行われているとのことでした。
カンボジアには栄養士の制度がなく、栄養の概念もあまりないそうです。訪れた高校では、同じ学年でも体格にかなりの違いが見られ、成長期の十分な栄養摂取の重要性が感じられました。カンボジア教育省では、小学校より保健の授業を始め、食育も盛り込むとのことです。日本ではどのように食育が行われているか、栄養教諭の2名が食育の授業を教育省で披露しました。日本の国際協力NGO、FIDR(公益財団法人国際開発救援財団)の協力による食生活指針も完成したとのことで、今後の教育の成果が期待されます。
カンボジア | 日本 | |
市町村教育委員会 | 国の教育省が決定権をもつ。州の教育省はあるが,決定権はない。 | ある |
小学校 | 約7,000校 | 約20,000校 |
学制 | 6・3・3・4制(小学校~中学校が義務教育) | 6・3・3・4制(小学校~中学校が義務教育) |
教育形態 | 公立校は午前と午後の二部制(試験的に全日制を導入。私立校は全日制もある。) | 全日制(定時制・通信制もある) |
養護教諭制度 | ない。保健室のような部屋はあるが、常駐者はいない。 | ある |
戸籍制度 | ない。義務教育を受けられる子供の数が正確には把握できない。 | ある |
学費 | 原則的に無料。教科書は貸与される。 | 原則的に無料。教科書は贈与される |
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