学校給食と子どもたちへの食育を応援する

カンボジアについて学ぶ会を開催しました。

カンボジアについて、私たちは何を知っているでしょうか。ポル・ポト政権下の虐殺やそれにつづく内戦の歴史、美しい古代遺跡アンコールワット。しかし、普通の市民の生活や、子どもたちの学校事情についてはなかなか知ることができません。

カンボジア教育省学校保健課のソティアヴィ課長とチャヴィロッ副課長が、カンボジアの発展を支援する国際協力NGO、FIDR(ファイダー、公益財団法人国際救援開発財団)の招聘で来日されました。

この機会に、チーム学校給食&食育では、カンボジア教育省のお二人とFIDRの方々をお迎えして、2017年9月29日「カンボジアについて学ぶ会」を開催いたしました。

講演の一部をご紹介します。

カンボジアの人口・経済・保健等

カンボジアはタイ、ミャンマー、ベトナムに隣接しています。面積は日本の約半分です。
人口は日本の約10分の一ですが、18歳未満人口が38%を占め、日本(16%)とは対照的な人口構成になっています。

経済は順調に復興していますが、GNI(国民総所得)は他の東アジア諸国に比べて低い水準となっています。
貧困率は2007年には47.8%でしたが、2017年には13.5%と大幅な改善が見られました(世界銀行)。
子どもたちの栄養状態も改善されてきましたが、5歳未満の子どもたちの低体重の割合は23.9%、成長不良も32.4%にみられ、特に農村部で大きな問題になっています。

学校保健

学校保健に関しては、応急処置、衛生・体育教育、食品安全、感染性・非感染性疾患の予防、学校環境、健康診断、口腔衛生、水の衛生、回虫駆除・ワクチン接種、エイズ教育、ドラッグ教育、学校朝食などが行われています。小学校における手洗い設備の普及率は、50.9%です。トイレの普及率は85.9%と一見高く見えますが、児童数に対して数が足りていない場合も多く、問題になっています。

WFP(国連世界食糧計画)は学校朝食(給食)を農村部の学校で行っています。食用油、米、ヨード強化塩がWFPから月1度配送され、野菜や肉魚といった生鮮食品は地域や学校が調達します。バラエティに富んだおいしい料理を子どもたちに提供できるように、教育省では料理コンテストを開催し、調理員の技術と意識の向上を目指しています。(カンボジアでは、午前、午後の入れ替え制で学校が運営されています。)

カンボジアの食

カンボジアでは、料理を大皿に盛り、食卓で分け合いながら食べる習慣があります。空心菜や四角豆などさまざまな野菜とフルーツを豊富に使い、ハーブやスパイスで味をつけた料理を作ります。大豆を発酵させたものは、納豆にそっくりです。たんぱく源としては、魚、肉、卵、豆類、豆腐の他、農村部では昆虫を食べることもあるそうです。

カンボジアの栄養教育

学齢期(6-17歳)の子どもたちを対象に、栄養教育プロジェクトが始まっています。2014年には全国的な食事摂取量調査を行い、その結果からRDA(推奨量:ほとんどの人が1日の必要量を満たすと考えられる栄養素摂取量)を決定し、食生活指針を作成中です。フードガイドピラミッドは、カンボジアらしくアンコールワットの形をしています。日本と同様に、カンボジアでもカルシウムが不足しがちとのことで、今まではあまりなじみがなかった牛乳、乳製品がフードガイドピラミッドの中に入れられました。今後はこうした教材を使って栄養教育を進めていく予定です。

交流会

講演後は、カンボジアのお菓子や日本のくだものなどをつまみながら、交流会をいたしました。英語がわからなくても、笑顔や度胸(?)で交流し、和やかな雰囲気で幕を閉じました。約30名が参加いたしました。

(於:中西製作所)